〜南相馬から再び杉並へ〜つぶてソングの集い in 杉並 レポート


和合亮一氏による朗読
(撮影:三浦興一)

震災の年 2011年10月に杉並公会堂で開催した「つぶてソングの集い」は、その後も毎年3月に、郡山、南相馬、名取、福島、そして2016年は再度、南相馬にて開催してきました。
回を重ねるごとに当プロジェクトのコンセプトに賛同して無償の力を貸してくれる音楽の仲間たちの輪も広がりを持つようになりました。

有志合唱団リハーサル風景
杉並区立桃井第四小学校合唱団
福島の詩人・和合亮一氏と作曲家・新実徳英氏によって創られた「つぶてソング」を歌い、その美しく優しい音楽の時を共有することを通して、私たち一人ひとりが東日本大震災を忘れてはいけない、風化させてはいけないと強く思い、また音楽が生きる力の源になることを願ってこの活動を継続することの意義を感じています。しかし月日とともに震災や原発問題に関する報道は減り、「風化」が始まっていることも否めません。また復興に向かう一方で、未だ続く被災地での厳しい状況や問題の様相が、日々変化していることを、訪れるたびに驚きとともに知ります。「東日本大震災」を過去の出来事ではなく、今考えることとして、今回はあえて被災地ではなく、第1回開催地である杉並公会堂にて集うことを決めました。

松原混声合唱団
小林美恵さんのヴァイオリン演奏

「つぶてソングの集い」プロジェクトは、杉並区で子供時代を過ごした仲間たちが発起人となって立ち上げました。また、南相馬市と杉並区は震災以前から「災害時相互協定」を結んでいる強い繋がりがあることからも、今回の集いは当プロジェクトの原点となる場所、杉並公会堂での開催と言えます。

いらか会合唱団+有志

第1回の杉並での集いから、協力・出演の松原混声合唱団をはじめ、杉並区立桃井第四小学校合唱団や(横浜)聖光学院中・高等学校グリークラブ(2013年、南相馬での集いにも参加)という若い世代の参加・出演も意義深いことだったと思います。さらに今回は新たな試みとして、様々なアマチュア合唱団の有志たち、学生他 143名が新実氏の指揮のもと、つぶてソングから2曲を合同合唱しました。和合亮一氏、そしてこれまでの集いを通して、親交を深めてきた被災地の合唱人たち(南相馬・ゆめはっと合唱団有志 他)を杉並に迎え、再びともに歌い合い、実りのある音楽の時を過ごしました。また、杉並区の小・中学校を卒業し、現在も杉並在住の国際的ヴァイオリニスト・小林美恵さんの演奏は、美しく華やかに会場に響きました。

会場とともに
横浜聖光学院中・高等学校グリークラブ

『つぶてソング』とともに、新実徳英作曲、三世代のための二部合唱曲集『白いうた 青いうた』もプログラムに組み入れ、子供から大人までが器楽演奏とともに歌うことを通して、音楽が生きる力の源になることを目指し、「音楽は微力からもしれないが、決して無力ではない」という新実氏の言葉を実感する集いでした。ご来場下さった皆様、ご支援をありがとうございました。

デュエット 井上由紀&松井康司
そうま地方合唱を楽しむ会所属有志合唱団


フィナーレ「あなたはどこに」

「つぶてソングの集い」プロジェクト代表 浜中康子